会計時の「そちらの袋も一緒にお入れしますか?」の威力

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こんな経験ないでしょうか?

別のお店で買った商品が入った袋を手にぶら下げ、会計を済まそうとお財布を取り出した時、「そちらのお袋も、ご一緒にお入れしましょうか?」と聞かれたこと。

「あら、ひとつにまとめてくれるなんて、配慮の行き届いた優しい店員さんね」と心がホッコリするあなたは、この時起きている重大なことに気付かない、純粋な人なのかもしれませんね。

実は店員さんは「お客様のため」ではなく、「自社のため」にこの行動をとっているんですよ。今回は店員さんの思惑について見ていきましょう。

 無印→ユニクロの順で買い物

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実際に私が経験した話。

パルコ内に「無印良品」「ユニクロ」がどちらも出店していて、ある日私は「無印良品」でパンツを買ってから、「ユニクロ」にてエアリズムをお買い上げしようとしていました。

・パンツ(無印良品
・エアリズム(ユニクロ

 

まず「無印良品」でパンツを2つ買うと、そのパンツは小さめの「無印良品」と描かれた袋にいれられ、私の左手にぶら下がりました。その手で私は「ユニクロ」に足を向け、エアリズムを探し出し、会計に差し出しました。

・パンツ(無印良品)Get
・エアリズム(ユニクロ)会計中

 

会計中に別の店員がエアリズムを「ユニクロ」とデザインされた袋に入れました。私はお金を払おうとリュックからお財布を取り出そうとしたとき、店員はこう言いました。

「よろしかったら、そちらのお袋もご一緒にお入れしましょうか?」

「気の利く優しい店員だなあ」と思ったのは束の間、「無印良品」の袋が、まるでジョーンズのサメの口のように開いた「ユニクロ」の袋に飲み込まれていきます。その姿を見て、店員の思惑に気がつきました。

 

ユニクロ」の店員はまさに、「無印良品」を食ったのです。

 

商品袋という広告。お客様という広告塔。

まだ先ほどの話がピンとこない方がいるかもしれないので、広告の話をしなくてはいけません。

 

ほぼどんなお店で商品を買っても、会計のときに袋に入れてもらえますよね。その袋には、そのブランドのロゴやデザインが施されています。もちろん、これはただのインクの無駄遣いではありません。

お客様がその袋を手に持ち、お店から出た瞬間、その袋はただのオサレな袋ではなく、宣伝広告になります。帰宅の列車の中、隣に座った人がその商品袋を見て、「あ、そろそろユニクロでパンツ買って補充しなきゃ」というようなことを想起させられます。そこまで買う意欲を引き出せたらベストですが、視界にちらつくだけであっても、無意識下でそのブランドの影響を受けてしまうのです。

 

そう、商品袋を手にぶら下げてくださるお客様は、「歩く宣伝広告塔」。広告看板を背負っている状態です。そのため、商品袋というのは、”宣伝”という重要な役割を担っています。

 

ユニクロが無印を飲み込んだ

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話を振り返りますと、「無印良品」が丹精込めてデザインした袋を、「ユニクロ」は自分の袋の中に閉じ込め、「無印良品」の広告効果を完全無効化しました。

にっこり優しそうな笑顔をした店員は、裏でこのような企業の作戦に加担していたようですね。

 

飲み込まないで2つぶら下げればいいんじゃない?

例えば、「ユニクロ」が「無印良品」を飲み込まず、それぞれ独立してお客様の手に持たれていたとします。このとき帰宅路の周りの一般市民からしたら、「無印良品」と「ユニクロ」両方の宣伝を受けなければいけません。

それぞれのお店では「服」という同じカテゴリーを扱っているので、「そろそろ服を買おう」と考えていた一般人がいた時に、「ユニクロの袋」を見れば「あ、ユニクロに行って買おう」と考えることもありえます。しかし、同時に「無印良品の袋」も目に留まってしまえば、「無印良品のほうがいいかもな」と考えるスキを与えてしまいます。

  

ユニクロ」が「無印良品」の袋を飲み込んだのは、こうした自社の商品を選んで欲しいという下心があるのです。

 

お客様にとってはどうでもいい話。

お客様からしたら、今までの話は正直どうだっていいですよね。だって、2つの袋を別々に持つよりも、1つの袋を持つ方が楽に決まっていますもん。それに私のように人の優しさを素直に受け入れられなくなり、疑り深くなるのはあんまり幸せなことではないかもしれませんからね。

 

広告手法は面白い

「このビラを持ちあるいて当社を宣伝してください」と言われ、ビラという広告を押し付けられるのは、どんな人でも嫌がります。しかし、「お待たせしました」と商品の入った袋という広告を渡されるのは嫌な気がしません。

同じ「宣伝」をお客様にしてもらうにも、少し言い方やシチュエーションを変えるだけで、相手に快くやってもらえる。

広告手法というのは面白いですね。