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「君の名は。」に見る、面白いコンテンツづくりの法則「逆バイアス」(※ネタバレ有り)

マーケティング全般 ライティング

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ほしのこえ」から見ている新海誠作品。また今回も観に行きました。「君の名は。」面白かったです。後半のパンチラも含めて、新海誠さんありがとうございます。

あのシン・ゴジラさえも越す勢いで興行収益を上げているという事実、「君の名は。」をご覧になった方なら頷けるでしょう。

 端的に「面白い」という感想が出てくるのですが、具体的に「どこが面白かった」のでしょうか。そこには大きく3つの場面があると思います。

  1. 「ハッとした場面」
  2. 「キュンとした場面」
  3. 「笑った場面」

振り返ってみると、それぞれの場面に「面白い」を引き出す共通した法則がありました。今回はそれぞれの場面から、「面白いコンテンツづくりの基本法則」を探ってみましょう。

 

 

ハッとした場面

まずは「ハッとした場面」です。これは、全体的なストーリーの仕掛けに「ハッと」させられました。「君の名は。」の全体的な構成としては次の4構成になっています。

  1. 体が入れ替わる
  2. 体が入れ替われなくなる
  3. 2人がなぜか会えない
  4. 2人が会えるようになる

視聴者は途中までまで、「いつもの体が入れ替わっちゃうパティーンの物語」と、頭の中で考えていたと思います。

しかし「2人がなぜか会えない」理由が判明したところで「ハッと」させられます。実は入れ替わっていた2人は、「いつもの同時系列で存在する2人」ではなく、「3年前の女と3年後の男」で、2人がなぜか会えない理由は、「そもそも時間軸が違く、ヒロインは3年前に死んでしまっているから」なのです。

視聴者「(なんで会えなくなったんだ・・・え!?3年前にヒロインが死んでる!?3年前と入れ替わってたのか!)」

私たち視聴者は「同時系列での入れ替わり」という「思い込み」を持っていたため、「時系列が違う」というギャップにハッとしました。その「思い込み」はなぜ生まれたのでしょうか?

それは「作中、同じ日付で入れ替わっていたこと」「同様の体が入れ替わる作品は、同時系列のものが多いという知識」を頭のなかに持っていたためです。どっちもスマホを使っていたことも、「同じ時間に生きてる」ことの認識を深めていたかもしれません。

新海誠さんはこの「思い込み」を作中で綿密に仕掛け、最終的に「うわっ!そういうことか!」と視聴者の目を見開かせました。「君の名は。」のストーリーの中心は「入れ替わり」なので、この物語を面白いと感じた方も同様に、この仕掛けにハマり、ハッとさせられたのだと思います。

今回の「ハッとさせる場面」の構成要素をまとめると、次のようになっています。

  • 思い込みを設定する(同時系列の入れ替わり)
  • 納得する理由付け(同じ日付での描写、日ごとに入れ替わる描写)
  • 思い込みをぶち壊す(実は3年前との入れ替わり)

これは、()の中を入れ替えることで、同じように「ハッと」させる内容を考えることができます。

常に「思い込み」が心を動かすカギです。思い込み=バイアスなので、これを打ち破る意味で、「逆バイアス」というタイトルを本稿につけています。

今回のこの構成要素は、残りの「キュンとした場面」「笑った場面」についても説明がつきます。実際に見てみましょう。

 

キュンとした場面

キュンとした場面はもちろん・・・

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主人公滝が「名前を忘れないようお互いの手のひらに『名前』を書こう」と言い、滝がまずヒロイン三葉に名前を記す。次に、三葉が滝の手のひらに名前を記そうとすると、お互い目の前から消えてしまい、書けなくなってしまう。その後だんだんとお互いの名前が思い出せなくなり、記憶が消え、でも感情だけは覚えている。三葉が必死に町のみんなを救おうと走りだして転んだとき、見た手のひらに書いてあったのは、「名前」ではなく「好き」の文字。

観客「(キュンッ)」

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長くなりましたが、ここにキュンとしましたよね。胸がはち切れるかと思いました。ここも先ほどの「逆バイアスの法則」によって分解することができます。

  • 思い込みを設定する(滝が名前を書いた)
  • 納得する理由付け(もう名前をお互い忘れないため)
  • 思い込みをぶち壊す(実は書いたのは名前でなく「好きだ」の文字)

うん、うまく説明ができましたね。

 

笑った場面

テンポ良く「笑った場面」についても見てみましょう。笑った場面は、ついに主人公滝が入れ替わりに成功し、三葉の体で朝目覚めた時です。

  • 思い込みを設定する(「あいつに悪いか・・・」とこれまでのように胸を揉まない素振り)
  • 納得する理由付け(「三葉を助けるため入れ替われてよかった」「三葉のこと好きだし、大切にしてあげよう」と考えている)
  • 思い込みをぶち壊す(妹がふすまを開けると、滝が三葉の体で、泣きながら思いっきり自分の胸を揉みしだく)

笑った場面ばここですね。これも上手く説明いきました。

 

面白い作品には沢山の「逆バイアス」が仕掛けられている

今回の映画で面白かった3場面を、「逆バイアス」で説明してきました。自分でも言うのはなんですが、「逆バイアス」という言葉を使いながらその実は、より分かりやすく言うと「ギャップを上手く作る」ということになります。

君の名は。」だけに限らず、他の映画でも「面白い」となるポイントはこういったギャップが存在しますし、映画だけに限らず記事や小説もそうですね。

面白いコンテツが作りたいと考えたら、このギャップを意識すると良さそうです。フレームとして次の3要素を提供します。

  • 思い込みを設定する
  • 納得する理由付け
  • 思い込みをぶち壊す

新海誠作品を見て、改めて「こういう熱狂するコンテンツを作りたい」と考えた次第です。新海誠さん、最後のパンチラを含めて素敵な作品をありがとうございました。