読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

書評:「確率思考の戦略論」第1章「市場構造の本質」のまとめと感想

f:id:cland741953:20161120235451j:plain

「確率思考の戦略論」は、潰れかけたUSJを数々の施策でV字回復にまで導いた森岡毅氏によるマーケティングの本です。本書では、どのような考えのもとで施策を生み出しのか、そこに大量の経営資源を投下するための確信をどう得たのかが記されています。

第1章だけを読んでみたところで、第2章から展開される内容にワクワクしています。この記事では、自分のメモ用に、そしてこれから購入を考えている方向けに、第1章のまとめと書評を記します。



第一章:市場構造の本質

森岡氏がUSJをV字回復させた施策で有名なものに「ハリーポッター」がありますが、V字回復に貢献した施策はそれだけでなく、一風変わったハロウィンイベントや逆に走るジェットコースター、その他の映画コンテンツの導入などがあります。森岡氏の施策全体を見渡したときに驚くことは、施策が高確率でヒットしていることです。

一発屋」という言葉があるように、一発当てることは奇跡的に起こることがあります。しかし、盛岡氏はその奇跡を魔法のように何度も続発しているのです。

森岡氏はその魔法にも見える施策考案方法について、「種も仕掛けもある手品」と表現しています。第一章では、種(経営資源)と仕掛け(戦略)を使っていくための前提として、「市場構造の本質」の理解を中心に解説しています。

市場構造

市場構造とは、ある商品カテゴリーにおける、
人々の意思と利害と行動が積み上がった
全体としての業界の仕組みのこと(p021)

人々が「利益を得る」という最終目的を共通して持っていることによって、プレイヤーが「相手に買わせる」ためには何をしたらよいか等を考えた先に、合理的な「仕組み」が生まれていきます。この「仕組み」は、実は同じ条件下であれば、別のカテゴリーとも一致します。例えば、シャンプーカテゴリーとパンケーキカテゴリーが、似た仕組み(市場構造)となっているというように。

別々のカテゴリーが似た市場構造を持つことが分かると何が嬉しいのでしょうか。それは例えば、Aカテゴリーで導かれた「法則(=仕組み,市場構造)」が、Bカテゴリーでも適応できることです。

ここでいう「法則」は、「確率モデル(数式だと思ってもらえればいい)」によって表せます。「確率思考の戦略論」では、実際の確率モデルを使用して導き出せる消費者の行動の予測値と、観測値を比較し、ほとんど予測に誤りがないことを証明しています。

f:id:cland741953:20161120230857j:plain

上記は本書で示している予測値と観測値の比較です。この表の下には予測値を導くために使われた確率モデルも書かれています。


各カテゴリーの市場は構成要素が存在している。表面上の情報だけを見るのではなく、本質を見ることで未知の数値もコントロール可能な状態になる。

森岡氏は、まず第一章でこのマインド(確率思考)を一番に伝えたかったのだと思います。

先程示した予測と観測を見ると、ピタリと一致していて魔法でもかけているのかと思ってしまいます。ところがそれは確率モデルによって導き出されている。つまり、同じように私たちにも観測値に近い予測値を計算することができるのです。

ここまで「市場構造」の話をメインにしていますが、第一章の中では、「市場構造を決定づけており、経営資源を集中すべきプレファレンス」についても触れられています。

「確率思考の戦略論」の特徴

本書の特徴は、導いた数値はどの確率モデルを使っているのかを示している上に、巻末で50ページも費やして、「確率理論の導入とプレファレンスの数学的説明」「市場理解と予測に役立つ数学ツール」を紹介していることです。マーケターが応用するための資料までもあるんですよ。

数学苦手だという方がいらっしゃるかもしれませんが、本書内では数学的知識を必要とせずに読み進めることも可能なように書いてあります。森岡氏も文章内でそう伝えています。

この記事では結構省いていますが、第1章だけでも結構濃密でした。

戦略の確率を事前に知り、経営資源を集中させるべきところを定め、成功確率を劇的に上げたいという方は、ぜひお手にとってみてください。